旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。 街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、 時には単車に跨って。

JY28 山手線立ち呑み事情 座魚場まるこ@浜松町

 東京タワーに照りつける真夏の陽も幾分西に傾いたように見える。ならばもう呑んでも後ろ指は刺されまい。立ち呑みで山手線を巡る旅も28駅め、今宵は浜松町「座漁場まるこ」に立つ。

浜松町でも店探しには苦労をした。少し前までは北陸の酒肴を振る舞う店があって、ときに仕事帰りに寄ったものだけど、ビルの建て替えを潮に閉店してしまった。

っで最近、魚が美味い一軒家酒場に立ち呑みカウンターがあると聞いて、さっそく出かけてみることにした。山手線の旅はまだ繋がっている。

生ビールは “マルエフ” ね。最近のCMは芳根京子さんらしいけど未だお目にかかったことがない。今日も1日、おつかれ生です。小鉢に盛られた気の利いたおばんざいは “酢蛸のカルパッチョ” と “里芋のにっころがし”、どちらも丁寧に仕上がっていて美味しい。

土佐直送が謳い文句の鮮魚はキハダマグロ、カンパチ、オオモンハタ、イサキ、炙りシメサバ。わさび、和がらし、ごまだれポン酢を駆使する。酒は真反対に北へ飛んで秋田の酒 “白瀑 純米ど辛” を注いでもらう。白身に合わせてキレが抜群の辛口がいい。

立ち呑みエリアは入口近くのカウンター、10人くらいは立てそうだ。奥と2階は大衆酒場風、金曜日ということもあって18:00を過ぎると次から次に会社帰りのグループがやって来る。客層は若い。どうも部課長職の御同輩は呼んでもらえないタイプの店らしい。

お店に敬意を表して名物だという “親鶏のもも焼” を注文、レアでコリコリとした食感で噛むほどに旨味が広がる。柚子胡椒をつけても良い。リーチインクーラーに見つけた “鶴齢朱鷺色”、初めましてだよねと思ったら案の定7月に発売した夏の限定酒。愛山を醸したこの酒、穏やかな香りと品のいい旨口を、淡紅色のラベルが上手に表現していると思う。

親鶏のももを食べ終えた鉄板に、あったかご飯に小ねぎと卵黄をのせてもらう、これ “からの〆の焼きめし” なるメニュー。鉄板に残った旨みや脂を絡めてかき混ぜると、酒の後の最高な一品が自分の好みや加減で出来上がる。酒に合わない訳はないのだ。

働き方改革の一環で、独りサマータイムならぬ前倒しした勤務シフトにしている呑み人、週に一度2度はこんな時間からの一人呑みを愉しんでいる。山手線を巡る旅も残すところ2駅、只今この後のテーマを絶賛思案中なのだ。

ところでこの店、“おばんざい” と “土佐直送の鮮魚” がかなりのレベル、ホスピタリティも申し分ない。一方、お代はと言うと、ちょっと気の利いた居酒屋レベルの予算が必要なので、気になる方は要チェック。

愉しい時間でした。ごちそうさまです。次回、聖地新橋でお会いしましょう。 

<40年前に街で流れたJ-POP>
Super Chance / 1986 OMEGA TRIBE


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帰省旅のあれこれ 蕎麦 一房@長野

 それでは〆の “ざる” を一枚。もうそれなりに蕎麦前をいただいているから研ぎ澄まされていないけれど、ほんのりと香りが広がってくる。ズズッと啜る細麺は喉越しが軽やかだ。ここ最近いただいた中では、たぶん最も美味いそばだと思う。

石臼で挽いた信州産の蕎麦粉は「一本棒丸のし」という方法で、そばにストレスを与えず大きくのすのだそうだ。そう言われてみれば、長い一本棒を操るために、通りから覗ける「打ち場」は見たことも無いくらい広い。

 

話はどうしても蕎麦前のことになる。“豊賀(とよか)” は小布施の酒、杜氏は女性、ボクにとっては初めましての酒だ。多分。緑ラベルは中取り無ろ過生原酒、米の旨味を感じる純米酒だ。アテに赤身でスッキリした “馬刺し” 、柔らかくて美味しい、っで薬味は断然にすりおろしニンニク派だ。ところで北信濃ではあまり馬刺しを食さない、どちらかというと松本、諏訪、飯田、伊那の食文化であったものだと思う。

“キノコおろし” は、この辛味大根が酒の肴に申し分ない。“山菜のっけ冷奴” 信州らしい趣があって美味しいアテになる。“美涼(みすず)” という美しい響きの一杯は塩尻の酒、美山錦で醸した特別純米無濾過生、爽やかな香りと軽やかに酸味を感じるこれぞ夏酒。「みすずかる」と言うのは和歌短歌では信濃の枕詞だから、ラベルにも音にも涼風そよぐ高原を感じる。そしてたった今しがた涼風が喉を通り過ぎていった。

もう一品は蕎麦前にはお馴染みの “とり天” ね。軽く塩をふって口に運ぶ、カラッとした食感、でもジューシー、美味しい。さていい感じだから、そろそろツルッと一枚といこうか。

ここ「蕎麦 一房」のディナータイムは17:30〜20:00、いっ一回転しかしないじゃないですか。営業的にどうなのと余計なお世話だけど、訪ねるボクたちからしたら落ち着いていただけるし、一つひとつ手間をかけた料理をいただけるし言うことはない。妹夫婦を交えてふるさとでの愉しい食事でした。次は “田舎そば” をいただきたいね。また伺います。

 

<40年前に街で流れたJ-POP>
Sweat & Tears / THE ALFEE 1986


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ご当地旨ラーメン事情 らーめん亭松茶屋@妙高

 大きな丼をバイト君が覚束ない様子で運んできた。お待ちかねの “ねぎみそラーメン” が着丼、二玉は入っているかと思う中太ちぢれ麺、甘めの白味噌系、厚切りのチャーシュー、山盛りのシャキシャキのネギ。まずはレンゲでひと口、このコク、この香り、沁みるね。懐かしいね。もう連れのことは気にぜず、大掴みでズルズルと啜る。ちぢれ麺にスープが絡み滴る。旨い。

帰省ついでに上越方面に車を走らせた。のべ11年勤務したから挨拶したいところもある。本命とん汁屋の開店30分前に飛び込んだつもりがすでに50人待ち、この時期だから帰省してきたこの地の出身者が、家族や仲間と押しかけるのもよく分かる。それにしてもすでに35度の猛暑の中、そんなに待てやしないからと次点の「らーめん亭 松茶屋」を訪ねた。

ニンニクが案外効いているから、外回りの日は通過するばかりだったけど、妙高高原で滑った冬にはよく寄ったものだ。今となっては赴任した街周辺のご当地グルメを辿るのは実に楽しい。黄色と黒は勇気のしるし ♪ を地でいった毎日だったから、もっと食べ歩いて、呑み歩いたら良かったのにと思いながら、美味しい一杯をいただきました。ごちそうさまです。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ツイてるねノッてるね / 中山美穂 


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帰省旅のあれこれ 食堂 綸@長野

 少し遅い時間になって出かけた先は、ホテル近くの「食堂 綸」というカジュアル和食とナチュラルワインの店。おしゃれだけれど落ち着いた空間で、カウンターからオープンキッチンを眺めながら、ゆったりとした時間を愉しむことができる。

「綸」の文字が入った洒落たグラスで乾杯。ビールは一番搾りだったかな、他にHakuba Brewingのクラフトビールがある。アテは “八寸” を注文、とびっこをトッピングしたポテサラ、長茄子の揚げ浸し、しらうおとキャベツのお浸しなど6品が並んで楽しい美味しい。

鮮魚から “胡麻カンパチ” を択ぶ。すりごまの甘いタレをカンパチに絡め、小ねぎと刻みのりをのせて美味しい。っで、オレンジワインはオーストリアの “Martin & Anna Arndorfer W”、フルーティだけど苦味も感じる個性的な辛口で、和のアテにも合うのはボクにも分かる。

二杯目は “L.D'Ange 2022 Alexandre Bain” なるロワールのソービニヨンブラン、軽やかに甘味があってまろやかな飲み心地だ。土鍋ご飯は “初鮎と新生姜”、揚げた鮎を甘辛いソースを付けて炊いている。若き店主が目の前で、鮎の骨をバリバリと砕いてご飯と混ぜ合わせると、生姜の香りが広がって食欲をそそる。

お盆休みの時節柄もあるのだろうけれど、お店はかなり若やいだ雰囲気だ。正直なところ店選びを間違えたかと思ったけれど、お店の方からワインのこと料理のことなど話を聞きながら、ナチュラルワインと創作料理を味わって、ずいぶん時間を愉しんだふるさとの夜。帰省する旅に訪ねたくなる素敵な店でした。ごちそうさまです。

<40年前に街で流れたJ-POP>
MOTOR DRIVE / レベッカ 


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帰省旅のあれこれ 布引観音 × そば蔵 丁子庵@信州・小諸

 この店を訪ねるのはたぶん3度目、そして毎回 “辛味大根おろしそば” を択んでいる。品のいい蕎麦猪口のおろしが隠れるくらいに汁を注いだら、一掴みのそばを軽く浸してズズっと啜る。ツンと鼻に抜けるくらいの辛味が、真夏にいただくそばとしては何とも心地よくそして美味しい。っと向かいに座った相方が、まだすり鉢の “くるみ” を潰している最中だった。ごめんごめん、お先に失礼。

もっきりに溢れる “浅間嶽” は柑橘系の香り穏やかにコクのある純米吟醸、ちょい冷えが美味しい。ふるさとに帰る道のりはボクがドライバーだから、知ったかぶって相方に奨める。気に入ったくれた様だ。蕎麦前の天ぷらは、とうもろこし、ししとう、ズッキーニと夏野菜が並んでこれまたいいね。

旧北国街道の宿場町小諸、そば蔵丁子庵は街道風情の町並みの中に、総欅造り黒漆喰仕上げの土蔵を構える。歴史の重みと涼を感じながらいただく信州そばが美味しい。

 千曲川を挟んで対岸の断崖絶壁に布引山釈尊寺という古刹がある。牛に化身した観音様が、強欲で信心を持たない婆さまを善光寺まで導いた「牛に引かれて善光寺参り」という伝説が残る観音堂だ。

堆積物が千曲川に削られて露出した断崖絶壁「布岩」を登るのはちょっとした登山感覚。時間にして20分くらい、汗が噴き出すころに何とか観音堂下まで辿りつく。

観音堂は巌窟の中、拝殿は朱塗りの懸崖造りの舞台になっている。拝殿を支える太柱は12本で高さは20mを超えている。対して欄干は腰の高さまでないから覗き込むと足がすくむ。京都の清水寺ならいざ知らず、信州の山中にこれほどの建築があって、幾度かの戦火を越えて再建されてきたことに感心する。

ふるさと信州とは言え二十歳前にとび出してしまえば知らないことばかり。年に数回の帰省旅、これからはちょっと「ずくを出して」知識と経験を深める旅にしたいものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夜明けのMEW / 小泉今日子 1986


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大人のたしなみ 立ち呑み ソメアカ@浦和

「ソメアカ」とは、アニメ「スカイ・クロア」に登場する戦闘機「染赤」のことか、あるいはREDSの赤に染めよってことか。そんな要らぬ想像を巡らしながら、瀟洒なビルの外階段を登って、今宵「立ち呑み ソメアカ」に立つ。

そしてめずらしく二人酒、先ずは “Premium Malt's” で乾杯。アテは “大人なチキン南蛮タルタル”、何が「大人」かって?、多分いぶりがっこ・しば漬け・ツボ漬け・たくあんを刻んで混ぜ合わせたタルタルが「大人の味」ってことか。

ふた皿めは塩サバの焼き串、メニューには “嫁串” となっている。ふっくらと脂がのったサバがこんがり焼けて、レモン絞っておろしをのせて、これまた絶妙に美味いアテだね。酒は二杯目のホッピーを濃いめに作っている。

刺身を注文するタイミングで日本酒に代えよう。信州は川中島の酒 “幻舞”、この特別本醸造はキレがあるやや淡麗な酒、飲み飽きしそうもない。“本日の刺し盛らず” は宮城のカツオ、大分のオコダイ、鹿児島のヒラマサが並んで美しい。さいの目切ったガリが泣かせる。ところで何故「盛らず」なのかは知らない。

それから “さつま揚げアオサ入り”、これも逸品、塩をちょんちょんと付けて口に放り込む。美味しい。今宵は信州の酒に徹すると決めて下諏訪の “御湖鶴”、優雅な名前のこの酒は五百万石で醸した無濾過生原酒、フレッシュでフルーティな酒だ。

この酒に合うかともう一品は “水茄子の刺身” を。かかっているとろりとした出汁な何だろう。これも日本酒の傍に添えるにはいいアテだと思う。それにしても立ち飲みクオリティを遥に超えた味、見た目の美しさ、値段に脱帽。黒板に赤で描かれている日本酒メニューのセンスにも言うことない。再来訪必至の立ち呑みがまた一軒増えてほくそ笑む。いやぁご馳走様でした。

<40年前に街で流れたJ-POP> 
君は1000% / 1986 OMEGA TRIBE


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Biz-Lunch あけぼの@有楽町「サービスアジフライ」

 すでに還暦を迎えた東京交通会館、このビルにも美味い店、雰囲気のある酒場がひしめいている。この日は山手線から有楽町線に乗り換える機会に、この旧いビルの地下街に紛れ込む。

とんかつの名店「あけぼの」を訪ねる。天邪鬼にもボクは “サービスアジフライ” を択ぶ。“アジフライ” 一尾に “海老フライ” と “一口ヒレかつ” が大皿に並ぶ。もうが主役がどれか分からないビジュアルではある。

三枚におろした肉厚のアジがカラッと揚がって、レモンを絞って和がらしを付けて、このサクサクふっくらが美味しい。ところがだ、この絶妙な “アジフライ” も、タルタルに塗れた “海老フライ” の美味しさもさることながら、この柔らかでジューシーな “ヒレかつ” の美味さったらない。やはりここを訪ねたら、“とんかつ” か “かつ丼” を試さないという選択肢はなさそうだ。

という訳で、近々の再訪を決意して、有楽町線の改札へと歩を進めるのだ。ご馳走様でした。午後は池袋オフィスで打ち合わせです。

<40年前に街で流れたJ-POP>
夜明けのMEW / 小泉今日子 


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